「法人成り」は本当にメリットがあるのか⁉
随分前から、個人事業主で所得が増えることによって税や社会保険料の負担も増えてしまい、法人の設立を考えるという傾向は続いていると思います。実際、私の事務所にもご相談に来られる方は毎年います。また最近のSNSでは、「マイクロ法人」の設立で社保負担や節税を図るスキームの再生回数がある程度あるようです。自分自身いくつか視聴してみた率直な感想としては、「こんな簡単な話ではないのに、メリットしか紹介してないのは危険である」というものです。
以前は、「個人の所得が800~1,000万円を超えたら法人を作りましょう」というのがセオリーでした。しかし、最近では個人の所得税の負担と法人側の負担と手取りキャッシュフローの流れを詳細にシミュレーションすると、少なくとも個人所得が2,000万以上でないとメリットがあるとは言えなくなってきています。
実際は、医療法人なのか・従業員はいるのか・日当や社宅をどうするか・法人での給与所得をいくらに設定するか等で条件が異なり、一概に論ぜられる程簡単なものではないので、事前に詳細なシミュレーションなしで法人を設立してしまい、思いの外「法定福利費」の負担が大きく、法人の利益がないばかりか、個人の手取りも減ってしまい、何の為に法人を作ったのか分からない人を何人も見てきています。
「法人にする=手取りが増える」ではないことをご理解いただき、法人化をご検討ください。