「生計を一(いつ)にする」を理解する①

年末調整や確定申告の時期に耳にすることのある「生計を一にする(せいけいをいつにする)」という言葉ですが、日常的に使う言葉ではないため、一体どういうことなのか、今回コラムでじっくり取り上げてみたいと思います。確定申告を担当している税理士としては、かなりの確率で言葉の理解を間違えている人が多いと感じる論点であり、税額が過大に計算されてしまっていることが散見されます。

そもそも「生計を一にする」ことが適用要件の一部になっている控除は、「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」「障がい者控除」「寡婦控除」「ひとり親控除」「所得金額調整控除」「保険料控除」「医療費控除」「雑損控除」「特定支出控除」などがあり、多くの控除に直接的に影響を与えているにも関わらず、正しく理解されていrないのは残念でなりません。

「生計一(せいけいいつ)」(*一つの生活を営む単位として考えられる)」は、主に同居(共同生活)している場合がこれにあたります。では、同居していなければ、生計一と言えないのかと言えば、そんなことはありません。子が進学のため一人暮らししているケース、病気療養して離れて生活しているケース、仕事で単身赴任しているケース、親が老人ホームに入居しているケースなどは、別居していても「生計一」とみなされます。特に夫婦共働きで、どちらかが単身赴任しているケースで誤解されている方が多いです。

次回は逆のパターンで、同居であっても「生計一」と見なされないパターンをご紹介してゆきます。