封じられる「タワマン節税」

来年2024年1月から生前贈与の制度が大きく変わるのと時を同じくして、これまで長らく富裕層の節税対策として活用されてきた「タワマン節税」にメスが入り、相続税評価額が爆上がりすることで、相続対策をまた見直す動きが出ています。富裕層を狙い撃ちした今回の新ルールで、いよいよ取れるところからしっかり相続税を頂くという国税庁の姿勢が浮き彫りになってきました。

これまでタワーマンションが相続時に節税効果を発揮すると言われてきた理由は、実際の市場価額の4割程度の相続税評価額にしかならなかったため、特に高層階はその恩恵を受けてきました。一般的に戸建ての場合、相続税評価額は土地が市場価額の約8割で、建物が7割程度の評価であることと比べても、眺望がよく高値で取引されることが多い高層階においては4割評価にとどまっていたことが、実情から乖離していると判断されたという事になります。

しかし来年1月からの新ルールでは、市場価額の約4割から6割に引き上げられる計算方式に変わります。この新ルールによって特に影響が大きいとみられるのは、総階数20階以上のタワーマンションで、相続税の負担額が増大してしまいます。7月に発表された令和5年の路線価より、脱コロナで地価は回復傾向にあります。地価が急騰している地域や今回のタワマンの評価額変更により相続税の負担が増えることになる方は、相続対策遺産分割の方法を今一度見直す必要が出てきてしまいました。