複数の会社から給与がある場合の社会保険の扱いは?
最近、2か所以上の勤務先から給与収入を得ている方の確定申告の依頼が増えています。国もリスキリングを推奨し、会社側も副業に対する縛りがなくなりつつあることが背景にあります。またこれまで副業先では社会保険に加入しない人も多かったけれど、副業先で社会保険の加入を求められるケースも増えてきています。本業と副業の両方で加入してしまった場合、どのような扱いになるのでしょうか?
所得税と社会保険料では、副業に対する考え方が異なるので整理したいと思います。所得税では「主」たる給与(メインの1か所)は、源泉徴収税額表の「甲欄」から、「従」たる給与(サブ*メイン以外全てサブ)は「乙欄」から所得税を計算してゆきます。
一方、社会保険は「主」たる会社を管轄する年金事務所に対して、「従」の給与もあわせて申告します。年金事務所は「主」と「従」を合算して、決定された標準報酬月額の保険料を、給与額の割合に応じてそれぞれ按分して計算し、それぞれの会社に連絡がいき、それぞれの会社で給与から徴収した保険料をそれぞれの会社を管轄する年金事務所や健康保険組合に納付するという流れです。
「主」と「従」で社会保険の被保険者となった場合、自分で主たる事業所を選択して「二以上事業所勤務届」という書面を提出する必要があることをお忘れなく。
社会保険の会社負担額は、給与総額の約15%もあり、大変重い負担額であるため、どうにかして保険料逃れを画策する会社もありますが、横浜の場合、年金事務所の調査がしっかりしており、中には2年遡及して保険料を徴収されるケースもあるので、気を付けたいところです。


